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「ガソリンをからっぽにして、そのうえ犬の前に見はりがついています。あいつは歩いて逃げるほかはないのです。しかも、まだなんの報告もないところをみると、あいつは建物の外へは、姿を見せないのですよ。中にいるのです。家の中のどっかにひそんでいるのです。」「では、お話しましょう。それは、あの犬のなぞに、かんけいがあるのですよ。あいつはたしかに、あの首輪へはいった。そしてドアをしめた。ところが、ぼくらが、ふみこんでみると、影も形もなかった。出口はどこにもない、ただ、空気ぬきの小さな穴が二つあるばかりで、その下のほうの穴のうちがわのほこりが、何かでこすったように、みだれていた。ぼくはあの時、首輪が、まえに青銅の犬のゴム人形で世間をだましたことを思いだした。そして、こんどもまた、犬の首輪人形を用意しておいたのじゃないかと考えたのです。ぼくたちは、地下道のトンネルの中で、おとし穴の板の橋をかけるために、てまどっていた。 トップページへ